そのままでいい。みんなと違っていい。吃音当事者が伝える吃音症の生き方
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吃音を認める、吃音を受け入れるとはどういう事か

吃音が出やすい相手と出にくい相手の違い

もし吃音を直す方法があるとしたら、吃音に悩んでいる人の殆どがその治療を受けるでしょう。薬で吃音が治るのであれば、どんなに高額な薬であっても手に入れるでしょうし、外科手術で治療できるのであれば、きっと痛みを我慢してでも手術を受けることでしょう。

しかし残念ながら今のところ、そのような確立された治療方法はないようです。そのため呼吸法だったり様々なテクニックを用いて、声を出しやすくする訓練(治療)が行われているようです。ただし吃音は声の出し方が悪くて起きるのではなく、精神的な心の状態によって吃音の症状が酷くなったり、調子がよくなったりするものです。

例えば私の場合、話していて吃音の症状がすごく出てしまう人と、割とスムーズに話せる人がいます。その違いは、話し相手が私に対して先入観なく心を開いてニュートラルに接しているか、それとも遠慮ぎみに接しているかによって、私の吃音の症状は変わってきます。相手が私に対して身構えていると、私も相手に対して身構えてしまい、すると吃音が出やすくなります。本当は相手に対して何も意識しなければいいのですが、どうしても相手の心を察知してしまうのです。したがって吃音の症状を抑えるには、テクニックではなく自分の心をコントロールする必要があると考えています。

吃音が記憶に残り続ける理由

吃音は自分の心が生み出していると私は考えています。「どもったらどうしよう」とか「笑われたら嫌だ」など、吃音を意識すればするほど吃音は酷くなります。何も意識しなければ吃音は出ないのかも知れないし、吃音に関する記憶だけを消すことができれば、吃音は治るかもしれません。

しかしその場になると頭に浮かんできてしまうのが吃音です。大勢の前で恥ずかしい思いをした。人に笑われた。からかわれた。変な目で見られた。そのような辛い体験ほど深く記憶に残ってしまいます。すると同じような場面に遭遇した時、過去の辛い体験がフラッシュバックして「どもったらどうしよう」とさらに不安になってしまいます。

「過去の辛い体験や失敗」→「不安になる」→「また辛い体験をする」

この悪循環が吃音をますます悪化させ、症状が改善しない一番の原因です。ましてや人と話をするたびにこのスパイラルに襲われるので、心が休まる暇がありません。私はコンビニへ入るのも不安です。「お弁当温めますか?」と聞いてくる店員さんに「このままで大丈夫です」と答えられるか想像するだけで不安です。

本来、記憶は自分を守るために残るので、辛い経験や嫌な印象を受けたときほど記憶が強く残ります。したがって吃音に関する記憶が残らないようにするには、吃音の失敗や辛い出来事を嫌な事として捉えなければ記憶に残らないはずです。時々吃音が治ったという人がいますが、そんな人の中には、自分が吃音であったことすら忘れかけている人がいます。辛い事、嫌な事として認識しなければ、自分が吃音であったことさえ忘れてしまうようです。

吃音を受け入れるとは具体的にどういうことか

自分の中で吃音は「恥ずかしいもの」「隠したいもの」「治したいもの」という認識でいると、吃音が出た時のことが嫌な事として記憶に残ってしまいます。したがって、恥ずかしい、隠したい、治したいという感情を抑えて、何も感じないようになることが吃音治療が目指す最終的なゴールであると思います。

ただしそうは言っても簡単に自分の感情を抑えたり、辛い体験を記憶から消すことなどできません。そこで吃音を克服するために、まず「吃音を受け入れる」という発想が大切です。受け入れるとは自分が吃音であることを受け入れて、周囲の人へ吃音について自ら伝えることです。

私は上手く話すことができません!

言葉がつっかかって上手く話せないんです!

私は吃音なんです!

そんな今まで心の奥に閉まって決して人に言えなかった自分の本当の気持ちを、友達、家族、学校の先生、上司、職場の同僚など、周囲の人へカミングアウトしてしまうのです。自分の本当の気持ちを人に伝えられるようになると、吃音に対するネガティブなイメージが少しずつ薄れてきます。すると「どもってもいい」という感情が湧いてきます。

だれだってなりたくて吃音になったわけではありませんし、吃音で苦しんだ人は皆さん様々な努力をしてきたことでしょう。それでも吃音が改善しないんだから仕方がないじゃないか!自分のせいではない!そんな開き直った気持ちになって、吃音の苦しさ、大変さ、辛かったこと、悲しかったことをカミングアウトして、ありのままの自分を周囲に知ってもらいましょう。私は会社員時代、思い切って朝礼時に職場の人の前で吃音について話したことがあります。それでも上司も同僚もそれまでと同様に接してくれましたし、私は気持ちが楽になり「どもってもいいや」という意識に変わりました。

カミングアウトは、勇気がいることですが、それをきっかけに吃音に対する向き合い方が変わるはずです。まず吃音を認める。そして吃音を受け入れる。チョッと勇気を出してカミングアウトすれば、きっと「どもってもいいや」と前向きな自分に変われるはずです。

記事のまとめ

  1. 自分の心をコントロールすることで吃音を改善に向かわせることができる。
  2. そのために自分が吃音であることを受け入れて周囲の人へ吃音について伝える。
  3. 周囲の人へカミングアウトすることで、どもることの不安が和らぐ。
  4. 自分の本当の気持ちを隠さずオープンにすることが吃音を改善する第一歩。

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